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おなじことをなんどでも書く

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「許せない」って何だったんだろう。音も声も光に透けた生身の線も全部全部諦めようとして諦めてきたのに、書いたものだけは今この瞬間すら逃したくないらしい。あんなふうに言語化したかった。鮮やかなのに褪せていて、美しいのに穢くて、近すぎるのにいつだって遠かった。厳密にはゼロ位置ではない。ほんの少しだけズレている。戻れない。

作品に灼かれた瞬間にもう後には引けなくて、恋だと思った瞬間に夢だと思った瞬間に叶わないことを破れることを厭というほど解っていて、怯えながら今もいる。憧れた時点で一生辿り着けないことを悟る、だからわたしの旅は終わる。

助けてもらえばもらうほど背中の絶望の影が濃くなる。振り向かないでいられたとしても死にそうなほどバカバカしい。