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おなじことをなんどでも書く

黒と青が好きってはなし(ついでに緑)

 

 

 

 

 

チケットが当たってから欲しいなと思っていたほぼ全てのものを買い込んでいる。GUERLAINのアイシャドウを皮切りに(まだ使ってないけど)、服もコスメもあまつさえカラコンにまで手を出そうとしている。数年前の自分が聞いたら驚くかも知れない。

前世バンギャだった癖してあんまりメイクは得意じゃなくて、でも得意じゃない癖に強いメイクが好きで。服もそうだ。着られる体型を持たなかったけどモードや民族テイスト、舞台衣装めいた服が好きだ。仕事ではメイクは適当にベースやって眉毛を描いて終わりだし、制服がある。髪色は制限されるし、華やかな化粧や服飾を考えたりやらなければならないような環境でもない。その上見合う技術や外見も持ち合わせていなかったから自分にとっての「軸」がずっとなかった。だからせめて場に溶け込めるような当たり障りのない格好はしなくてはと思ってピンクのスカートを試着してみたのだ。アイドルのコンサートってきっとかわいい服のほうがいいんだよね?って。診断をしてくれたイメージコンサルタントの方がおすすめしていたものだったから形は良かったし、かわいかったけど、ああ、付け焼き刃、と思った。着れないことはないけど、似合わないこともないかも知れないけど。悪くはないんだろうけどなあと釈然としない気持ちになりながらふと思いついて暫く穿いてなかった黒のスカートパンツに穿き替えた。

こっちだ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!

と思った。形も色も文句のつけようがない。こっちだ、そうだよねえこっちだよねえ!急に楽しくなってきてしまってトップスも真っ黒を着て、推しの身長を越す7cmヒールを履いて、ピアスを換えてネックレスをつけて、どんどん面白くなってきてしまってアイラインを引いてライブに行ってたときを思い出してなんとはなしの濃い色をアイホールに乗せて。あれ、こんなに楽しかったっけ、と思った。そして異常なほどしっくりきた。ああ、これだ。わたしってこうだよ。最高じゃん!!

全身真っ黒を着た170cm越えのバチバチメイクで黒マスクをした自分、マジで超愛せると思った。技術は全く進歩してないし体型も100点なんてとても出せないのに不思議なもんだ。そしてその日以来、コスメが異様なスピードで増えている。メイク動画を流してる素敵なYouTuberさんを見つけてずっとその人の動画を見ながら自分も鏡と向き合う。その人がおすすめしたものと同じものを買ってみたりして。化粧をするために自分と相対するのはしんどいことだと思っていたけど、アイラインを引いて濃い色を乗せると息苦しさがひとつずつ消えていくような感じがした。上手くはないかも知れないけど、その場に馴染むようなものじゃないかも知れないけど、ちょっと考え直してみてよ。迎合する必要って、そもそもあるんだっけ?もしかして、そんなの無いんじゃないか?

 

休日、たまたま大学時代の友達と電話する機会があって話をしていた。去年大鬱ぶっこいた余韻を引きずっていたので話すのは久しぶりだったけど。その子は結婚して今お家を建てているところで、今回の電話も多分いつもだったらもっと落ち込んでた。わたしがその子の住んでいるところに行く用事があっても「旦那さんの誕生日だから」会えないことも、「ライフステージが変わる」という言葉からその子の口から出たことも。だけどおめでとうと素直に言えたし裏側に悲しさも苦しさもなかった。いつもはある。どうしてもある。だってわたし自分の都合だけで生きてんだもん。それってあんま良くないんじゃないかって思っちゃうんだよね。そんなわけないって解っていても誰の役にも立ってないし誰にも必要とされてないみたいだなと思ってウケるし虚無るんだよ。

でも不思議なことに今回は比較して落ち込んだりしなかった。だって今、わたし自分のこと全肯定大好きモードだからね!!わたし以外の誰かはわたしと全く違う人間だものね!!そういう割り切りが自然と出来ていたんだと思う。

いいんだ、これでいいんだ、こうがいいんだ、わたしは。

こんなに心からそう思えたことってあんまないかも知れない。何がきっかけだったかは自分でもいまいち分からないけど、痩せたのがラッキーだった、イメコンに行った、ピアスを開けた、今も戸惑いながらではあるけど推しが出来た、ついでにチケットも当たった、でもヴィジュアル系の曲が故郷だと思った、一生縁もないだろうと思ってたデパコスを買ってみた、適当ながらやったメイクが悪くなかった、自信を持って黒い服が似合うと思えた。

わたしひとりなんにも変わってないと思っていた。ずっと楽しくはない仕事をしているし、交友関係が広がるわけでもなく、パートナーを見つけられるわけでもなく、突出したスキルがあるわけでもなく、ライフステージが上がることもなく。分かりやすい大きな変化なんて何一つない。大学時代を過ごした街にいてダメダメだった自分ばっかり思い出して頭を抱える日も少なくない。だけどそういうわたしにも、きっとひとつひとつ、小さくても確かな変化はある。

そう、めちゃくちゃ今更ではあるがわたしはわたしの「軸」を得たらしいのである!

 

だからもうどんな現場でもバチバチにアイライン引いて目の上塗ったくって真っ黒い服着て黒マスクして行きます。いやごめん色は多少変えるかも知れんけどwでももう無理に迎合しようとしたりはしない、わたしはわたしが好きなわたしのままでキミに会いに行きたいので!!

 

年々自分を好きになる。諦めや妥協を含めて。でもきっとそれはいいことだ。